生涯収入と退職金、業種や学歴の違いや外資系企業の年収は?

年収ラボ

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株や不動産への投資も重要ですが、自分への投資をしていますか?他人の年収について気になりながらもなかなか聞けないものです。自分で勉強をしてどの様に自己投資するのかについての指針として、どんな職種でどこに就職をしたらいかほどの収入が得られるのかという最も基本的なことを考えてみました。

生涯収入を考えるにあたって

特に、就職前の大学生や将来の職業と収入の関係について真剣に考えている学生にとって、現状の日本での年収については大変気になると思います。転職することが一般的になってきている状況においては、社会人にとっても他の企業や業界の年収相場というが重要な指針になってくるでしょう。

一方で、日本については年功序列の終身雇用という雇用形態も日系の大企業を中心として継続しており、そのシステムの中で大学4年生での一括採用が続けられています。大卒である企業に就職して60歳の定年まで継続して働いた時、その中で得られる全ての収入がその企業における生涯収入になります。

特定の企業に長いこと勤める生き方を前提にするわけではないのですが、日本の大企業においては終身雇用システムが全ての仕組みの前提となっているのが現実です。システムとして根強く残っているものとして、今の段階で必ずしも同じ企業に一生勤めようと考えていない人も、この生涯収入の数字を意識しておくことに意義があると考えています。

日本国内の雇用収入関連の統計について

雇用関連の統計となるために厚生労働省の関連統計があります。「賃金構造基本統計調査」および「国民生活基礎調査」がありますが、国民生活基礎調査について所得関連の統計が取られるのは3年に一度の大規模調査年になります。賃金構造基本調査については、業種別など詳細な切り口があり毎年統計が取られるので収入関連統計としては非常に使い勝手が良い統計となります。一方、総務省が「全国消費実態調査」を行っていますが、こちらは5年毎の調査ですがこちらには集計の対象として民間職員と官公職員が含まれます。こうした雇用関連統計等を使って、毎年労働関連の統計をまとめているのが「ユースフル労働統計」になります。こちらは独立行政法人労働政策研究・研修機構が毎年発表しています。

こちらが「賃金構造基本統計調査」のデータの一例になりますが、学歴・性と年齢については5歳区切りで賃金を調査しているので、この統計を元に生涯収入の試算が行えます。

(出典:令和元年賃金構造基本統計調査,https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2019/index.html)

生涯収入の推計について

生涯賃金とは一人の人が生涯にわたって得る賃金の総額になります。統計として一人の人が過去にわたって取得した賃金の資料があるわけではありません。「ユースフル労働統計」においては、先ほどの賃金構造基本統計調査を用いて生涯賃金の推計を行っています。ここで、注意しなければならないポイントがあります。ユースフル労働統計による生涯賃金の計算では、上の第3表で示したような年齢別の賃金を前提に60歳までの働いて賃金を貰ったらいくらになるかという試算です。これはあくまでも現在の年齢別の賃金分布の合計であって、ある人が過去に渡って得た賃金を合計したものではありません。したがって、例えば、今大学4年生の人が卒業後(未来に渡って)いくら貰えるかを示すものではないということです。但し、仮に日本社会の構造が今後20〜30年にわたりあまり変化がないもの(この仮定には無理がありますが)とするのだとすれば目安としての生涯賃金の概算値として想定することもできると考えられます。

学歴別生涯賃金について

学歴別生涯賃金

 

(出典:労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2019」からEd-Inグラフ作成)

学歴別・性別の生涯賃金です。繰り返しになりますが、あくまでも2017年の性別・学歴別の年齢階層別のデータを使った試算値です。各年齢層別の学歴の属性があり、中学卒なら中学卒の学校卒業から60歳までの年齢層別データを合計した結果になります。

このデータだけを見ると、明らかに高学歴の人が生涯での収入が高いことが分かります。ただし、これも中卒であるからといって必ず低収入であると単純に説明しているものではありません。このグラフの元になっている賃金構造基本統計調査は事業所の労働者、つまりサラリーマンの賃金を調べるものです。独立して生計を立てている(個人事業主等)の収入を示しているわけではありません。中学校卒でも独立し社会的に成功している人もいるのですが、この統計にはそうした例はカウントされていません。また、大学院を卒業しても企業へ就職をしない人もいます。研究への道を進むため、正規でもしくは期限付きで大学の教員となる様なケースも考えられますがそうした人についてもこの統計には反映されてこないのです。

さて、現在の日本人はどの様な学歴の分布なのでしょうか?

年齢別最終学歴分布(2010年国勢調査)

(出典:国勢調査 / 平成22年国勢調査 / 産業等基本集計(労働力状態,就業者の産業など) 全国結果、https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200521&tstat=000001039448&tclass1=000001047544&tclass2=000001050184&stat_infid=000012989700 からEd-Inグラフ作成)

2010年の国勢調査ではありますが、55歳以上の層の大学進学率はまだ20%を切っていた時代である一方、20歳代の層では高卒と大卒との割合が概ね30%と拮抗してきています。社会のおける大卒の希少性は減退していますから、今後も大卒であれば必ずしもサラリーマンとして高収入を得られる保証があるわけではないのですが、最終学歴別の収入差は依然として残っていくものと考えられます。

企業規模別生涯賃金について

企業規模別生涯賃金

(出典:労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2019」からEd-Inグラフ作成)

企業規模で見ると従業員数が1,000名を超える大企業の生涯賃金の高さが目立ちます。これ以下の企業との差額については、各学歴で生涯で5〜6千万円となっているのが分かります。大卒であっても、100〜999人規模の企業に就職した場合、中卒・高卒で大企業に就職した場合と比較しても生涯賃金で超えられないと見えます。統計上は事実ではありますが、これも今の輪切りの数字となっており、実際に現在中卒で入社できる大企業を探すのは困難でしょう。

一方、やはり高校生が大学受験で有名大学を目指すことも重要ですが、現在の日本のシステムにおいては一括採用時の企業選定が将来の収入を決める上では大きな分岐点になっており、大学入試以上に重要な人生の分岐点となっています

個人向けの与信可能額(いくらお金を貸せるか)を測る際にも、どの様な企業に勤めているのかという情報は重要で、例えばクレジットカードを作るときに企業の従業員数を質問事項に加えているのはこうした背景があるからであると考えられます。

業種別の年収について

業種別の年収についても調べてみましょう。こちらについても「賃金構造基本統計調査」から計算することができます。調査においては、毎年6月の「きまって支給する現金給与額」の項目があり、こちらには職務手当や家族手当や残業代も含みます、これを12倍し年額に調整するとともに、「年間賞与その他特別給与額(ボーナス)」を加算して算出しています。まず、中学卒以上の全体の学歴かつ男女を含む全体の傾向を見てみましょう。

業種別年収

(出典:令和元年賃金構造基本統計調査からEd-Inグラフ作成)

全体の傾向を見ると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が年収660万円、「学術研究・専門・技術サービス業」が年収644万円、「教育、学習支援業」が年収621万円、「金融業、保険業」が619万円などが高収入の業種ということになります。次にこちらに対応する労働者数を調べてみました。

業種別労働者数

(出典:令和元年賃金構造基本統計調査からEd-Inグラフ作成)

全ての学歴においては「製造業」への従事者が圧倒的に多く、「卸売業、小売業」、「医療、福士」に続きます。ここで、少し考えてみると「電気・ガス・熱供給・水道業」については、大手電力・ガス会社への従事者が多く、全体で見た場合大企業であることの要因が出てきてしまっているとも考えられます。そこで次では、業種で分けますが、男性、大学・大学院、企業規模1,000人以上の大企業における傾向を見てみました。

業種別年収(男性,大卒・大学院卒,企業規模1,000人以上)

(出典:令和元年賃金構造基本統計調査からEd-Inグラフ作成)

企業規模を1,000人以上で絞り込んであるため、大学卒業後にこれらの大企業に勤めたサラリーマンの年収のイメージに近くなります。「鉱業、砕石業、砂利採取業」については大卒の労働者数は77千人と非常に少ないのですが年収においては968万円とトップです。こちらについては個別企業の要因の可能性もあります。次に大手ゼネコンが想定される「建設業」が年収888万円、「教育、学習支援業」が878万円、「金融、保険業」が873万円と続きます。

業種別労働者数(男性,大卒・大学院卒,企業規模1,000人以上)

(出典:令和元年賃金構造基本統計調査からEd-Inグラフ作成)

こうした業種別の年収の格差はなぜ生じるのでしょうか?業界の給与慣例や、その業界特性が持っているコストストラクチャー(大きな金額を動かす割にはそこに関わる人員が少ない、その逆で薄利商売を大人数でこなす必要のある業界)の違いにより収入の差は生じていると考えられます。

退職金について

ここまで、生涯賃金・収入については退職金を考慮せずに計算してきましたが、生涯収入を決定するにあたり退職金も重要になります。こちらも企業の規模別、学歴別のデータがユースフル労働統計より取得できますのでグラフに示しておきます。大企業においては2千万円程度の退職金が準備されています。

企業規模別・学歴別退職金

(出典:労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2019」からEd-Inグラフ作成)

外資系企業やコミッション型給与体系について

賃金構造基本統計調査は統計調査であるため、日本の企業の全体像を概ね捉えるのには適していますが、外資系企業やコミッション型給与体系の企業の一面はなかなか捉えることができません。

例えば、外資系の金融は新卒で入社し、アソシエイト、VP(バイスプレジデント)、MD(マネージング・ダイレクター)、SMD(シニア・マネージング・ダイレクター)等の様に昇進していき、1000万+出来高から始まって、年収数千万から億ということもあります。一方で、50歳まで勤め上げられるかというとこの年齢では東京のヘッドということになりますし、日系企業の様に概ね誰にでも定年まで席を準備してくれるということもありません。

年間も目標とパフォーマンス評価があり達成できなければ在籍も危うくなります。また、本部やアジア管轄の方針やコストカットのため部署そのものがなくなるということも生じます。

外資系保険の営業や、不動産関連企業についてもコミッション型の給与体系になっている企業もあります。外資系金融と同様ですが、扱う金額が大きく少ない人数で獲得手数料を分け合う仕組みでもあり成功した場合の収入は高くなる傾向にありますが、こうした仕事が継続できるかはその人のパフォーマンスと外部環境次第になります。

一方で、旧来の日本型の終身雇用型のシステムも現在のグローバル競争の中でどこまで維持できるかについては不透明であると言えるでしょう。

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