BDCとは?ARCCなどの米国高配当株式について

BDC

久々の投稿となりました。コロナショック後に米国株式を始めた方も多いかと思います。今回は特に米国株、さらに中でも高配当銘柄として人気のあるARCCなどのBDCについて解説したいと思います。BDCは高配当株の中で語られることが多いのですが実は企業の株式ではありません。日本国内でこの商品を適切に解説したリソースも少ないので記事にしてみました。

BDCとは何か?

BDCとはBusiness Development Companyの略で、主に米国の成長過程にある中小企業や経営再建途上にある企業への投資を行う投資ビークルであり、Companyとありますが投資家から見ると投資ファンドに近い形態です。

投資対象となるのは、そうした企業のデット、債券や融資資金のように必ず返済しなければならない資金を中心として、一部は株式等への投資が可能です。投資対象となる企業は銀行が融資を出しづらい成長期にある企業や再建期にある企業が中心になりますが、米国の場合こうした企業への出資(株式投資)を行うプライベートエクイティファンドの存在もあり日本語の”中小企業”からくる企業イメージとはやや異なります。

プライベートエクイティファンドとは、主に未上場の企業へ投資への投資を行うファンドになりますが、こうしたファンドの投資家も世界の個人富裕層や年金・保険などとなっており、米国では広く知られた資金の出し手となっています。

BDCの仕組みとストラクチャー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらがBDCの投資ストラクチャーになります。まず運用資産について解説していきます。こちらは米国BDCの中でも人気のARCCを例に説明していきます。ARCCについては米国のエイリス・キャピタルが運用するBDCになります。エイリス・キャピタルについては1997年設立の運用会社であり、グローバルにクレジット(BDCのような債券などデット投資)、プライベートエクイティ、不動産関連資産などに投資を行っています。運用資産額は総額で$179bnと大きな運用会社になります。ARCCについては運用資産額で$15bn超(2020/12)と最も大きなBDCとなっています。

運用資産の内訳を見てみましょう。

1.First Lien Senior Secured Loans

Senior Securedとは優先担保付きを意味し、Loanですので貸出ということになります。First Lienとは第一抵当権なので、仮にこの貸出の借主がデフォルト(倒産)した場合に、その担保を使って第一に優先的に返済を受ける権利をもつ貸出になります。企業については上場した優良企業については無担保の社債の発行も可能となりますが、信用力の劣る企業への貸出ではこうした担保付きの貸出にすることによって万一デフォルトした場合の元本回収を行います。また、日本ではあまり馴染みのないクレジットファンドですが、エイリスキャピタルなどファンドも日本の銀行と同じような企業向けの貸出をファンドの資金を使って行っています。

2.Second Lien Senior Secured Loans

こちらは、第二抵当権になります。担保付きですが2番目に優先される、つまりFirst Lienの債権者への弁済が終わってから回収可能になる貸出になりますので、同じ企業だとすると信用度はFirst Lienに劣ります。

3.Senior Direct Lending Program

ARCCの決算資料の注記を見ると、エイリスキャピタルの他の顧客ら(BDC以外にもクレジット投資商品を運用しています)との共同投資プログラムへの投資になります。中身については、上記1.2同様のSenior Secured Loanに加え、”unitranche”への投資を含みます。このunitranche loanとは上記のような優先部分と劣後部分を区別しない優先権が一体となった貸出になりFirst Lien Senior Secured Loanらに比べて企業破綻時の返済優先順位は劣ります。

4.Senior Subordinated Loans

劣後ローンになります。資本性の高いローンであり、上記のローンと比較して企業破綻時の回収の優先度は劣後します。

5.Preferred Equity

優先株になります。通常の株式よりも配当や会社清算時の剰余財産処分で優先しますが、議決権など株主としての権利は一定程度制限されているのが一般的です。

6.Other Equity

最後に、こちらは株式です。

これらをまとめると、株式に近くなるほどリスクは高くなります。一方で個別の投資商品別のリターンは高くなります。また、デット(ローン・債券)については金利収入になりますので利回りは確定しています。(Senior Secured Loanの場合は厳密には短期金利+αの変動金利)

(ポイント)

リターンは

6.Other Equity>5.Preferred Equity>4.Senior Subordinated Loans3.Senior Direct Lending Program>2.Second Lien Senior Secured Loans>1.First Lien Senior Secured Loans

の順番になりますが、安全性はその逆になります。ARCCとしては2020年12月末時点でFirst LienとSecond Lienのローンが約75%となっていますので、エクイティ性のリスクをたくさんとっているのではないと説明したいのだと考えられます。

BDCの規制

BDCについては、規制があります。まず、少なくとも70%以上のアセットについて、時価総額が$250millionより小さい米国企業への投資でなくてはなりません。

また、BDC内部での収益の90%以上をそのBDCの投資家に分配することにより法人税が免税されます。(2重課税を避けれられます)

BDCの仕組みとストラクチャーで示した通り、BDCについては株主(BDC投資家)からの資金に加えて市場調達も行っています。これをレバレッジと言いますがARCCの場合はエクイティ(投資家からの入金)とデット(資本市場調達)の比率が概ね1:1となっています。BDCについてはエクイティ:デットの比率は最大で1:2まで拡大することが認められています。少ない資本で多くの投資を行えるのは不動産投資のレバレッジ効果と同様です。(レバレッジについては別に解説します)

BDCのリスク

BDCについては、概ね年間10%程度以上の配当が出ていますが、リスクのないところにこうしたリターンは生じません。BDCについてはどのようなリスクがあるのでしょうか?

1.投資資産の価格変動リスク、デフォルトリスク

BDCではローンを中心とした金融資産に投資をしています。米国のSenior Secured Loanについては債券のように市場で取引されています。日本のローンの出しては銀行が一般的であり、特に企業向けローンをファンドなどの他の投資家と売買することは一般的ではありません。一方、米国においては債券と同様に取引が行われており、こうした個別のローンに日々価格がついています。従って、債券や株と同様に価格変動のリスクがあります。(ローンや優先株など流動性が低い商品も含まれてはいます)

さらに、貸出ローンについては企業が倒産(デフォルト)すると100で貸していたものが、担保により一部が回収したものの70程度しか資金回収できないケースなどもあります。そうした場合の損失は当然、BDCの投資家が被ることになります。

2.ファンドマネージャーの技量

BDCのストラクチャーで解説した通り、BDCの運用成績はそのBDCを運用するマネージャーの運用手腕に大きく依存します。1で示したようにどんな企業のローンを買ってポートフォリオを構築するか、またローン価格が下がった時にそのローンを売るのかあるいは保有し続けかなどの判断はマネージャーが行うことになります。

また、運用マネージャーについては、運用開始から途中で重要な運用担当者やアナリストらが安定してファンド運営に携わっているか(途中で退職していないか)などのポイントを見極める必要があり、ファンド運用体制そのもののリスクも勘案する必要があります。

3.レバレッジについて

レバレッジについては、運用資産の運用成績を上げるために用いられますが、資産価格の下落局面では逆にレバレッジを行っていない投資より運用成績が悪くなります。

4.為替リスク

ドル建て商品になるため、円で投資すると為替リスクをとることになります。

まとめ

BDCの特性を説明しました。高配当株の中で語られることが多いARCC等のBDCですが、VYM等の高配当ETFとは投資するアセットクラスが異なることがご理解できたのではないでしょうか?株のように見えますが実際には米国企業ローンに投資するアクティブマネージャーへの投資ファンドとしての特質を理解する必要がありますが、一方で株式と比較して単純にハイリスク商品ということはできないと考えています。

 

スポンサードリンク


コメント

タイトルとURLをコピーしました